【発火・爆発】ノートPCのバッテリーが膨張したらスグに交換4つの原因

「ノートパソコンのバッテリーが膨らんできた…これって危ない?」
「放置すると爆発するって本当?」
「修理するべき?それとも買い替えたほうがいい?」
長年使っているノートパソコンのバッテリーが膨張しているのを見つけたら、不安になりますよね。
特に、リモートワークで毎日使うPCなら、突然使えなくなるのは避けたいもの。

バッテリーの膨張は、放置すると発火や故障のリスクが高まる危険な状態です。
この記事では、バッテリー膨張の原因やリスク、安全な対処法を分かりやすく解説します。
さらに、修理と買い替えのどちらが最適か判断するポイントや、データを守るための注意点も紹介。
この記事を読めば、最適な対応策が見つかり、安心してPCを使い続けられますよ!
バッテリーが膨張する主な原因4つ

ほとんどのノートPCではリチウムイオンバッテリーが使われています。
リチウムイオンバッテリーの膨張は、特定の条件下で内部に発生したガスが逃げ場を失うことで起こります。
この現象はバッテリーの設計寿命を大幅に縮め、デバイスの安全性にも大きく関わる問題です。

以下では、バッテリーが膨張する代表的な原因について詳しく見ていきましょう。
①劣化によるガスの発生
リチウムイオンバッテリーは使用とともに劣化していきます。いわゆる経年劣化です。
この過程で電解質が分解し、水素やその他のガスが発生します。
これらのガスがバッテリーセル内に閉じ込められると、膨張の原因となります。
通常、バッテリーには2〜3年の設計寿命がありますが、使用状況によってはより早く劣化することもあります。
②高温環境での使用
高温環境はバッテリー膨張の大きな要因です。
35℃以上の環境で使用したり保管したりすると、バッテリー内部の化学反応が加速し、劣化とガス発生が促進されます。
夏場の車内や直射日光の当たる場所に置くなど、高温環境での使用は特に注意が必要です。
③過充電・過放電の影響
バッテリーを100%まで頻繁に充電したり、0%まで完全に放電させたりするのも膨張のリスクを高めます。
特に長時間の過充電状態は、内部温度の上昇と化学的不安定化を招き、ガス発生を引き起こします。
たまに使うからといって、充電器を挿したまま放置するのは避けましょう。
④不適切な充電器や電圧の影響
純正品でない充電器や、電圧管理が不適切な充電器を使用すると、バッテリーに過度のストレスがかかります。
これにより内部抵抗が上昇し、過熱やガス発生につながります。
また、電圧の急激な変動もバッテリーの損傷と膨張を引き起こす可能性があります。
海外旅行や渡航先では、必ず使用する国の電圧に対応した充電器をつかいましょう。
バッテリー膨張によるリスク

バッテリーが膨張すると、単なる不具合以上の深刻な危険をもたらします。
膨張は内部の化学的・物理的バランスが崩れた危険信号であり、放置すれば重大な事故につながる可能性があります。
膨張したバッテリーがもたらす主なリスクについて確認していきましょう。
発火や爆発の可能性
膨張したバッテリーは非常に危険な状態です。
内部の圧力が高まり、最悪の場合、発火や爆発につながる可能性があります。
特に物理的な衝撃や、さらなる過熱などの刺激を受けると、発火リスクが高まります。
ノートパソコンの破損(筐体の変形、キーボードの浮き上がりなど)
膨張したバッテリーは周囲の部品に物理的な圧力を加えます。
ノートパソコンでは、本体が変形したり、キーボードが浮き上がったりして、快適な操作ができなくなります。
その結果、外側のケースが割れたり、折りたたみ部分が壊れたりする恐れがあるんです。
内部パーツの損傷(マザーボードやタッチパッドへの影響)
膨張バッテリーの圧力は、マザーボード、タッチパッド、I/Oポートなどの重要な内部コンポーネントを物理的に損傷させる可能性があります。
特に精密な基板などは、わずかな圧力でも回路が断線したり、はんだ接続が破損したりすることがあります。
データ損失の危険性
バッテリー膨張による物理的損傷は、ストレージデバイス(SSDやHDD)にも影響を及ぼす可能性があります。
また、膨張したバッテリーが引き起こす突然のシャットダウンや電源不安定は、データ破損や保存していないデータの損失につながることがあります。
バッテリー膨張の前兆と兆候

バッテリー膨張は突然発生するものではなく、多くの場合、事前に様々な兆候が現れます。
これらの早期警告サインを見逃さないことで、深刻な事態を未然に防ぐことができます。
デバイスに以下のような変化が見られたら、バッテリー膨張を疑うべきサインかもしれません。
タッチパッドの誤動作や浮き上がり
ノートパソコンでは、バッテリーがタッチパッドの下に配置されていることが多いです。
そのため、膨張の初期症状としてタッチパッドの動作不良や物理的な浮き上がりが観察されることがあります。
タッチパッドが固くなったり、クリックの感触が変わったりする場合は注意が必要です。
キーボードや底面の変形
バッテリー膨張が進むと、キーボードが部分的に浮き上がったり、打鍵感が変化したりします。
また、デバイスを平らな面に置いたときに安定しない、底面が膨らんでいる、筐体に隙間ができているなどの兆候が現れることもあります。
異常な発熱
バッテリー膨張は内部抵抗の増加を伴うため、通常より高い発熱が観察されることがあります。
特に使用負荷が低いときでも異常に熱くなる場合は、バッテリーに問題がある可能性があります。
充電の異常(急速な充電減少、充電不能)
膨張したバッテリーは正常に機能しないため、以下のような症状が現れることがあります:
- バッテリー残量が急激に減少する
- フル充電してもすぐに放電する
- 充電が特定のパーセンテージで止まる
- 充電器を接続しても充電されない
- 電源に接続しないと起動しない
膨張したバッテリーの適切な対処法

バッテリーの膨張を発見したら、迅速かつ安全に対処することが重要です。
膨張したバッテリーは不安定な状態にあり、不適切な取り扱いは火災や怪我につながる可能性があります。
以下では、膨張したバッテリーを発見した際の正しい対応手順を説明します。
膨張したバッテリーを搭載したデバイスは、即座に使用を中止しましょう。
電源を切り、充電器を外し、可能であればバッテリーを安全に取り外してください。
膨張したバッテリーを使用し続けると、発火や爆発のリスクが高まります。
金属トレイ/耐火容器(フタ付き缶・砂入り金属バケツ等)に入れましょう。
フライパンや鍋もOKです。
万が一爆発しても延焼しないよう周りに何もない場所へ置いて下さい。

膨張したバッテリーは決して押し潰したり、穴を開けたり、分解したりしないでください。
内部には可燃性の電解質と高圧のガスが含まれており、物理的な損傷は即座に発火や化学物質の漏洩を引き起こす可能性があります。
自身で廃棄しなければならない場合、自治体かメーカーへ回収を依頼しましょう。
膨張バッテリーの場合は、事前に窓口やサポートセンターへ連絡が必要です。
バッテリーが膨張したら保証外?

バッテリーの膨張が確認されたら、交換が必要になりますが、その費用負担はケースによって異なります。
保証やメーカーのポリシーによって対応が変わるため、まずは自分の状況を確認しましょう。
以下では、保証の適用可能性と各メーカーの対応例について詳しく解説します。
バッテリー膨張は保証対象になるのか?
バッテリー膨張が保証対象になるかどうかは、メーカーや保証条件によって異なります。
HPの場合
- 保証期間内(通常1年間)であれば、製造上の欠陥としてバッテリー交換が無償で対応されることが多い
- HPの一部の製品では、バッテリーの膨張を明示的に保証対象として記載している
- ProBookやEliteBookなどのビジネスモデルでは、3年保証のオプションがある場合もある
Appleの場合
- 保証期間内のバッテリー膨張は無償修理の対象
- AppleCareに加入している場合は、延長された保証期間内であれば対応
- 特定のモデル(MacBook Pro 2015-2017など)ではバッテリー膨張の問題に対して特別修理プログラムを実施したことがある
Dellの場合
- 保証期間内のバッテリー膨張は基本的に保証対象
- ProSupportなどの拡張保証サービスに加入している場合は、最大5年間のカバーが可能
保証期間内・保証外の違い
- 保証期間内:無償でバッテリー交換または修理が可能
- 保証期間外:有償修理となり、交換費用はモデルにより1万円〜3万円程度
- リコール対象の場合:保証期間を超えていても無償修理される場合がある
膨張バッテリーの安全な廃棄方法

膨張したバッテリーを含むリチウムイオンバッテリーは、環境や安全上の理由から一般ゴミとして処分できません。
適切なリサイクルルートを通じて廃棄する必要があります。
膨張バッテリーを安全かつ環境に配慮して処分する方法を解説します。
自治体へ相談して回収してもらう
膨張しているバッテリーを自治体に回収してもらう場合は、お住まいの自治体もしくはクリーンセンターへ相談してください!
ごみ収集車や処理施設の火災につながる危険性があるからです。
多くの自治体では、リチウムイオンバッテリーを次のような特定の回収方法でおこなっている ことが多いですが、膨張しているバッテリーについては回収対象外電池とされています。
- 「小型家電リサイクル法」に基づく回収ボックスでの回収
- 特定の日時・場所での有害廃棄物回収イベント
- 資源回収センターへの直接持ち込み
自治体によって回収方法が異なるため、お住まいの自治体のウェブサイトや廃棄物処理課に確認することをお勧めします。

メーカーに回収してもらう
HP、Apple、Dellなど多くのメーカーは、製品購入時に古い製品の回収サービスを提供しています。
Lenovoは、破裂やさらなる損傷を避けるためにも、過度に膨らんだバッテリーは注意深く取り扱うことを推奨します。そして速やかにサポートセンターまたは認定サービス担当者に連絡して交換を手配してください。膨張したバッテリーには、ご購入いただいた機器および保守がカバーするバッテリーの保証規定が適用されます。
一部のメーカーでは、膨張バッテリーを安全に梱包して送付するための専用キットを提供している場合もあります。
ただし、膨張したバッテリーは「危険物」とみなされることがあるため、必ず事前に回収先に連絡しましょう。
バッテリー膨張を一時的に抑える方法はあるのか?

バッテリーが膨張してしまった際、応急処置として何かできることはないかと考える方も多いでしょう。
インターネット上には様々な「対処法」が紹介されていますが、その多くは科学的根拠に乏しく、むしろ危険を増大させる可能性があります。
バッテリー膨張は化学反応による不可逆的なプロセスであり、一度膨張したバッテリーを元の状態に戻す方法はありません。

インターネット上では以下のような対策が紹介されることがありますが、これらは危険であり、推奨できません。
- バッテリーを冷蔵庫で冷やす(結露によるショートリスク)
- 膨張部分に穴を開ける(発火・爆発の高リスク)
- バッテリーを完全放電させる(内部ダメージが進行中の場合、危険)
一時的な対策を試みることで、人身事故や火災などの深刻な結果を招く可能性があります。
バッテリー膨張を防ぐための対策

バッテリーの膨張は適切な使用習慣によって大幅にリスクを低減できます。
日常的な使い方を少し変えるだけで、バッテリーの寿命を延ばし、膨張のリスクを減らすことが可能です。
以下では、バッテリー膨張を未然に防ぐための実践的な方法を紹介します。
適切な充電習慣(満充電・過放電を避ける)
- 理想的な充電レベル: 20%~80%の間で維持するのが最適
- 長期保管時: 40~60%程度の充電状態で保管(完全放電での保管は避ける)
- 夜間の充電: 可能であれば就寝中の充電を避ける、またはスマートプラグなどで充電時間を制限
- バッテリーキャリブレーション: 3ヶ月に1回程度、完全に充電・放電するサイクルを行うことで、バッテリー残量の表示精度を保つ
高温環境を避ける
- 動作環境温度: 理想的には10~30℃の環境で使用
- 冷却の確保: 通気口をふさがない、冷却パッドの使用を検討
- 直射日光: 窓際や車内など、直射日光が当たる場所での使用・保管を避ける
- 高負荷作業: ゲームやレンダリングなど高負荷の作業を長時間連続で行う場合は、定期的に休憩して冷却する
純正の充電器を使用する
- 認証済み充電器: メーカー純正または認証済みの充電器・ケーブルを使用
- USB PD対応: USB Type-C充電の場合、USB Power Delivery対応の充電器を選ぶ
- 急速充電の制限: 日常的には標準速度での充電を優先し、急速充電は必要な場合のみ使用
- マルチポート充電器の品質: 複数デバイスを同時充電する場合、高品質な製品を選ぶ
以上の対策を日常的に実践することで、バッテリーの寿命を延ばし、膨張のリスクを大幅に低減することができます。
特に高価なノートパソコンやモバイルデバイスの場合、これらの習慣を身につけることで、長期的なコスト削減にもつながります。
まとめ:バッテリー膨張から機器とデータを守るために

リチウムイオンバッテリーの膨張問題について、重要なポイントを整理しましょう。
- バッテリー膨張の主な原因は、経年劣化、高温環境での使用、過充電・過放電、不適切な充電器の使用です。
- 膨張のリスクは単なる不便さだけでなく、発火や爆発の危険性、機器の損傷、データ喪失など多岐にわたります。
- 膨張の前兆として、タッチパッドの誤動作、キーボードの浮き上がり、異常な発熱、充電の異常などが挙げられます。
- 膨張バッテリーを発見したら、速やかに使用を中止し、適切な方法で交換・廃棄することが重要です。
- 保証対応はメーカーや購入時期によって異なるため、事前の確認が必要です。
- 膨張バッテリーは適切にリサイクルし、一般ゴミとして廃棄してはいけません。
- 膨張の予防には、適切な充電習慣の維持、高温環境の回避、純正充電器の使用が効果的です。
私たちの日常に欠かせないデジタル機器の多くは、リチウムイオンバッテリーに依存しています。
正しい知識と適切な使用習慣を身につけることで、機器の寿命を延ばすだけでなく、安全性も確保できます。
バッテリーのケアは、高価な機器への投資を守るだけでなく、あなた自身と家族の安全を守ることにもつながります。
日々の小さな心がけが、大きなトラブルや損失を防ぐ鍵となるのです。